ブログ!七転び八起き

出版編集者→ITスタートアップ起業→事業開発コンサルをやっている太田祥平のブログです。

えがおの本・太田より皆さまにお詫びです

2年間放置していたブログでのご挨拶で恐縮ですが、えがおの本に関して皆さまにお詫びがございます。

「家族の思い出がぎっしり詰まった多くのアルバムが津波で流された」との東日本大震災の報道をきっかけに構想し、3年弱のあいだ続けてきた「えがおの本」。

ご期待いただいた多くの皆さまの期待に沿うことができず、えがおの本としては活動を休止せざるを得なくなりました。

  • 2度目のピボット後のプロダクトである学校写真販売テストの開始が遅延
  • 日本政策金融公庫からの借入の失敗

上記2点が直接の引き金。ですが、こうした事態を想定して早めの手を打てなかったわたしの至らなさが大きいと痛感しています。

法人化して1年を振り返ると次の根本的な原因があったと思います。

【原因1】うわべの「いいね」に惑わされたが、顧客のニーズ・ウォンツとしっかりとはマッチしていなかった

2度のピボットを経て、えがおの本は次の3ステップでお客さんとユーザーにバリューを提供する形となっていました。

  1. 幼稚園などで行われる行事で我が子が写っているプリント写真をスマホで注文する
  2. プリント写真が自宅に届くだけでなくスマホでもその写真がすぐに見られる
  3. 卒園時には、それら購入済み写真が「自分の子どもだらけのオリジナル電子卒アル」(スマホにて閲覧)にもなる

というもの。

BtoBtoCのビジネスモデルです。弊社のお客さんは園で写真を撮っている地元の写真館。ユーザーは、我が子の写真を購入するママとなります。

ところがです。プリント写真販売のテストが開始しそうになると話がなくなる、という事態が複数の写真館で発生しました。

「いいね、これ!」「次の写真販売から試してみたい」という声はいただくのですが、いざ実際の稼働となるといろんな理由で進まないのです。

「細かい不満はあるけど、既存の学校写真Web販売システムからどうしても乗り換えたくなる!」という強いウォンツを自然と生むバリューがえがおの本にあるならば、そうした事態は発生しなかったでしょう。そこを甘く見ていました。

営業先写真館さんの「いいね」は、ユーザーインタビューでの「使ってみたい(≠使う)」と同じレベルだったのです。

【原因2】わたしが行った判断や行動の理由を数字でシェアできなかった

これは、対顧客・チームメンバー内ともに言えました。

最初にほころびが出たのはメンバー内。ドコモ・イノベーションビレッジ期間中に2度目のピボット(電子卒業アルバム→学校写真販売へのビジネスモデル変更)をした際、「なぜその判断にいたったのか?」がメンバー内で上手くシェアできず、当時のメンバーが離脱する引き金の一つとなってしまいました(理由は他にもあります)。

わたしは言葉を尽くしたつもりだったのですが、言葉ではなく数字ベースで考え方をシェアできていなかったのが原因ではないか、と思います。「『えがおの本が掲げる理念』=『3.11のような大災害から家族の思い出を守る』ことに学校写真販売システムがなぜ繋がるのか?」を口だけで説明していたのがダメでした。

「ビジネス・シミュレーションのエクセルはチームメンバー全員がひと目で見て分かる明快さが必要」との考え方を、アイ・マーキュリーキャピタルで行われた勉強会で先日知りました。エンジニアやデザイナーにも即伝わるエクセルの作り方を講師の熊野整さんにゼロからご教授いただき「これがあればピボットの理由も明白で軋轢も生まれなかったのでは」と感じています。

また、写真館の皆さまへ2度目のピボットをご理解いただけなかったのも大きいです。「オーダメイド電子卒アル」のはずが「学校行事写真販売システム」に変わったのにそれをしっかりと説明できてなかったのです。ご説明するタイミングも遅かったのもいけませんでした。

こうした原因で、冒頭の引き金を産み今回の事態に至りました。

この2年間、えがおの本の最初のメンバーとして協力してくれた妻に大変な負担と迷惑をかけました。そうして先日、彼女に辛い決断をさせてしまいました。自分の不甲斐なさについて、妻にはただただ詫びるしかありません。

「3.11のような大災害から家族の思い出を守る」ということを3.11の報道を見てわたしが志したのには理由がありました。

私自身が幼少期の両親の離婚で子どもの頃の写真が少なく辛い思いをしていたからでした。あの災害で同じように辛い思いをする子ども達が沢山うまれたに違いない、そう思うととても出版編集者の仕事を続けている気分ではいられませんでした。

えがおの本事業では今回の事態となってしまいましたが、上記の志をどうしても諦めきれない自分がいます(正真正銘のアホです)。ピボットかジャンプか他の形態かは未定ですが再起すべく今からできることも既に始めています。

もちろん今度は、周りの人々(特に家族)に迷惑をかけない形で行っていかねば、と考えます。ですがまずは、当座の生活費を確保すべく奮闘します。

しばらく、七転八倒を続けるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。