【不動産テック】独居老人増加でも事故物件は増加しないよ、なぜなら…
今回は不動産業界について。
newspicks.com有料記事なので一部引用します。
「死後数週間から1カ月近くたつと、腐敗が進んで強い臭いが漂い、床には人型の染みが残る」(清掃業者)ためだ。
臭いが取れず物件をフルリフォームしたり、臭いが消えるまで一定期間待つこともある。
こうした事故物件が増えているというのです。
よく言われている「事故物件増加トレンド」の背景
以下の背景があり、独居老人の増加トレンドがこの先数十年は継続するのは必至です。
- 生涯未婚率上昇
- 高齢化社会の進展
その結果以下のようになる??…
- 独居老人の孤独死増加
- 発見が遅れ遺体の腐敗が進んで
- 事故物件が増加
これが冒頭の記事をはじめとしてよくいわれる話です。ですが、事故物件がこのまま増加するとは私は思えません。理由は次の2つです。
理由1:増加する独居老人を「お客さん」として避けられなくなる
確かに2021年時点では、民間の賃貸物件に独居老人が入居しようとしても様々な理由で断られます。
ですが、人口減少は2009年来既に始まっています。不動産業界にとってより意味のある「世帯数」も2023年には減少に転じると予想されています(「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」)
他方、独居老人は増加が続き2040年には全世帯数の40%に到達(高齢世帯、45%超が一人暮らしに 2040年の東京・大阪)。
賃貸物件オーナーにとっての市場としての「世帯数」が減少する中、独居老人は増加。賃貸物件オーナーが独居老人を断れない時代は目前なのです。
- 確かに、不動産業界にとっては事故物件が増えることはリスク
- だからといって、高齢化が進む中 独居老人の入居を断ると空室増
…という状況になるのですから。
理由2:独居老人の孤独死による事故物件化を防ぐテクノロジーの導入が既に始まっている
冒頭の記事には下記の事例があげられています。
こうした事態を回避するため、入居者の異変を早期発見すべく、室内に赤外線センサーを設置して、一定期間動きがなければ警備員が急行するサービスの活用も広がっている。
この赤外線センサーでの異変察知の取り組み以外にも、テクノロジーのチカラで事故物件化を防ぐサービスは今後拡大するはずです。
なぜなら、不動産会社や賃貸物件オーナーが自分のビジネスの障害となる事態を放置するわけがありませんから。
例えばApple Watch。
ご存知のとおりApple Watchは心拍数を常に計測しています。遠くない未来。Apple Watchユーザー向けに以下のようなサービスを提供するヘルステックスタートアップは現れるはず。
【1】心停止した際の救命救急サービス
あるいは、孤独死による事故物件化を抑止する不動産テックのひとつとして…
【2】独身中高年男性の賃貸物件新規契約者にApple Watchによる孤独死防止サービス加入義務化
充電時間を超える時間にわたってバイタルサインが消えたら管理会社が急行するサービス。これなら、遺体の腐敗も起こらず事故物件化を防げます。
しかも、ステークホルダー全員が満足するサービスなのです。
入居者にとっての孤独死防止サービス
- 一人暮らしの高齢者となっても入居を断られずに済む
- バイタルサインに異変がでたら救急対応で安心!
不動産オーナーにとっての孤独死防止サービス
- 入居希望者で今後増える独居老人を受け入れることで空室率低減
- 独居老人を受け入れても事故物件化を防げる
これらテクノロジーによる課題解決の結果、孤独死も事故物件も減少。かつ、皆が満足という近未来です。
「今のトレンドがそのまま続く」という思い込みではいろんなビジネスチャンスを逃しかねませんよね。賃貸業界の未来を考える時だけではなく、私たち自身が仕事をする業界の未来を考えるときにも注意していきたものです。
【小売】顧客無視なら失敗!?伊勢丹新宿が始めるオンライン接客
コンビニも含まれるセブン&アイを除くと、百貨店業界国内首位である三越伊勢丹ホールディングス。
その旗艦店である伊勢丹新宿店が大きい決断をしました。
百貨店さえも、全商品をネットで販売を始めることになりました。このニュースだけを切り取ると、
「高級品がネット販売で売れるの?」
――という疑問が頭に頭に浮かぶかもしれません。
自動車でさえスマホで売る時代が始まっている
でも、自動車販売でこんな取り組みをボルボ日本法人が始めています。
ボルボだけではありません。日産も取り組みを開始。日産は、接客だけではなく納車までスマホで完結という徹底ぶりです。
伊勢丹新宿店のネット接客の不安要素
ですが、伊勢丹新宿店の取り組みには不安要素があります。
ボルボのオンライン接客は「車を買うという体験と接客は不可分」という意味で腹落ちはありました。
他方 小売業態において、2020年にネット販売(EC)が急拡大した背景は「新型コロナ禍」。ですが、ここ20年間でECがシェアを徐々に拡大し続けてきた理由として、
- 「接客されるとわずらわしい」
- 「接客されると不要なものも買わされそう」
ーーそうした接客を忌避する顧客のインサイト(心の動き)もあります。
ボルボと同じで、伊勢丹新宿店をひいきにする富裕層の皆さんはコンシェルジュ的なサービスをオンラインにも求めているとするならば勝算はありそう。
ただ、伊勢丹新宿店の「全商品をネット上で接客し販売する。専用アプリ」が
「接客するリソースが自社にあるからネットでもやってみようか」
みたいな伊勢丹新宿店都合のプロダクトアウト(お客様目線ではなく提供側目線)でやろうとしているならば、接客を忌避する顧客のインサイトをないがしろにしているゆえに失敗する可能性が大。
今後の伊勢丹新宿店の動きから目が離せませんね。
【飲食店】手間ゼロ!なのに効果大!SNS動画コンテンツの作り方
「イラストや漫画を描く様子を流すネットライブ」や「農作業を流すネットライブ」が人気という記事。
音楽以外のクリエイター向けライブ配信・ドキュメント配信というアイデアは、スタートアップ界隈でコンテンツビジネスに携わるひとはアイデア出しで出したことがあるネタかもしれません。
わたしもそうですしw 今回の取り組みは、
- それを形にした点
- クリエイターだけでなく「作業のライブ配信」にも拡張
この2つで「なるほど!」と感動。
さらに! 畑作業のライブなどをコンテンツ化とは面白いですね。
こうした作業風景を流すライブ配信は2つの活用法が出てくると思います。
従業員向けの動画マニュアル作り
1つめは、「作業工程の動画マニュアルづくり」への展開。
コメントがついた部分は「みんなが目からうろこな部分」として「作業工程マニュアル」動画の編集ポイントとしてフラグが立つ…みたいな感じです。
ちなみに、農作業の動画マニュアル作成ITスタートアップも存在しています。
今回の作業配信。作業マニュアル動画の撮影&編集を楽にする可能性がビシビシあります。
手間なし!なのに効果あり!お客さま向けのSNS動画コンテンツ
2つめは、飲食店の厨房ライブ。
- (新型コロナ禍なら)衛生管理にここまで気をつけているんだ!!
- こうやって材料の下ごしらえをやっているのか!?
現場の様子を動画コンテンツとして、You TubeやInstagramの生配信で流す活用法です。
わざわざコンテンツを制作するコストや手間もゼロ。なのに、お客さまやお客さま候補は観てて楽しい。
そうした活用法の世界も見えてきたと言えそうです。